コマミー

DOGMAN ドッグマンのコマミーのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
3.9
【1人の人間と犬達の華麗なる足踏み】



※fans voice様のオンライン試写会での鑑賞





4年前の「ANNA」以来、しばらく新作がなかった"リュック・ベッソン"。
もう彼の新作をしばらく拝めないのかと私は少し落胆していたのだが、そんな彼が、私が大好きな俳優の1人である"ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ"と共に新作を準備中だと知り、楽しみで仕方がなかった。フランスとアメリカをまたにかけた名匠監督と、とてつもない演技力が売りの若手俳優が手を組むと、どんな作品に仕上がったのだろうか?

リュック・ベッソンらしい作品の様で、ベッソンらしくない作品でもあった作品だった。
"オープニングの入り方"や、"哀れだと思われていた人間が這い上がる物語"を描いた所は従来のベッソン作品にあった要素なのだが、そこに"宗教的要素"を取り入れた所は、ベッソンにしては新要素だなと感じた。娯楽性も確かにあるのだが、本作は"アート寄り"に傾いた作品でもあり、スタイリッシュよりも人間の描き方に焦点を当てていた作品だった。

主人公の"ドッグマンことダグラス"と彼を取り囲む"多数の犬達"とのコンビネーションがめちゃくちゃ最高だった。恐ろしいくらい、犬達が利口で、この子達の活躍にも大きな報酬を与えたいくらい凄かった。
そしてケイレブ。このリュック・ベッソン作品でもかなり尖った役を大いに演じていて、それでいて彼の"所作"が凄いセクシーだった。本当に素晴らしい俳優だし、もっと彼の名がこの作品を機に知られてほしいなと感じた。
そして、ダグラスの子供時代を演じた"リンカーン・パウエル"の演技も充分凄まじいし、かなり"ケイレブに寄せている演技"も賞賛に値すると思った。またベッソン作品から、新たな若い才能が誕生したなと確信した。

ベッソンが宗教を通して、人間と犬の関係性を描いた最新作。まさに"ベッソンの復活"を本作で感じたし、新たなステップを踏んだ作品でもあると感じた。
ケイレブの才能を余す事なく発揮させたし、犬映画の名作の一つとして、本作も刻まれると嬉しい。

これは今までのベッソンファンも、本作で初めてベッソンの作品を見る方も、みんな見てほしいなと感じた。
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