不乱苦

DOGMAN ドッグマンの不乱苦のレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
5.0
意外にも、と言うのもなんだが(今更リュック・ベッソンに特に過大な期待もなかったので)これがなかなか見応えのある快作だった。

陰湿すぎる話だったら嫌だなあ、と思ったが、前半の主人公の境遇の悲惨さが、その後あまり引きずらず、わりとカラッと楽しく進んでいくので非常に観やすい。感情移入しすぎて辛くなりそうな手前で、適度に距離を置いてくれるのは、現代的なのかもしれない。
この観やすさに大きく貢献しているのが、やはりワンちゃんたち。とにかくみんな可愛いので、どんな陰惨なシーンでも、ワンちゃんが駆け回ったりこっちを見つめてきたりするだけでニコニコしてしまう。ストーリーもいいが、ワンちゃんを見てるだけでも十分楽しい作品になっている。

とは言え、人間たちの演技も良く、特に主人公を演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズの存在感、美しさには完全に魅了された。

主人公の足が不自由なため、アクションシーンのメインはワンちゃんになるので、多少迫力に欠けるところがあるが、ジョン・ウィック的なアクション映画が大量生産される中で、それとは違う新たな表現を形にしたのは、リュック・ベッソンとても良かったと思う。

ダークヒーローものとして続編も可能だと思うので、ぜひワンちゃんたちがマフィアを壊滅させるような第二作を期待したい。
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