ベルベー

ある閉ざされた雪の山荘でのベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
2.4

このレビューはネタバレを含みます

原作東野圭吾で登場人物全員役者のクローズド・サークルなんてちょっと面白そうなのにあんまり人気作じゃないよなあと思ってたら案の定、そんなに面白くなかった。

元の話が30年前なので「いやスマホ使えばええやん」のところに対する理由づけが…中々苦しい。ガチで命の危険感じたらまずスマホ使うわなって。そうでなくても中々苦しいんだけど。本当に殺人が起きているのか?いないのか?曖昧なまま進むので登場人物も観客もイマイチ緊迫感を持てないまま話が進み、そして終わってしまった印象。

これ、初手で演出家の恐ろしさとか、それによって醸成された劇団の異様な空気感とかをもっと示すことができていれば、また違ったんだろうな。「es[エス]」じゃないけど、異常に囚われたせいで正常な判断ができなくなる登場人物達…みたいな。初っ端からギスギスしている劇団員達を映しているのでその描写が必要という理解はあったと思うのだけど、大元の演出家を全然描けていないので甘い、説得力がない。演劇界のハラスメントなんて、ちゃんと描いたらむしろ今風の物語に仕立てられたのに。声が大塚明夫とかで遊んである場合じゃないぞ。

本当はクローズド・サークルじゃないのにクローズド・サークルのように思えてくる、雪なんて降っていないのに閉ざされた雪の山荘に見えてくる…そういうところも、映像演出でもっと巧く表現できたのではないかと思う。雪は降ってないはず…いやでも豪雪なのか…?あれ、どっちが本当…?てな具合で。この映画観てても、長閑な別荘で舞台俳優達が大騒ぎしているだけにしか見えないもんな。小説なら文字だけなので読者が想像力で補完できるけど。映画は逆に、映像で説明ができる、翻って説明できてしまう媒体なので、そこに想像できる余地がないとキツい。どうでもいいけど「本当は雪なんて降ってなかった」ってゴールデンカムイのEDの歌詞みたいになるな。実写版「ゴールデンカムイ」面白かったな。

閑話休題。キャストは今頑張っている若手がバランス良く揃っている。だからこそ映画館で観ようと思ったんだけど…全員ちょっとずつ役不足だよな。本領を発揮できていない気がした。短気な堀田真由は他ではあんまり見られないのでお得だったが。
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