にく

ある閉ざされた雪の山荘でのにくのレビュー・感想・評価

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
3.7
飯塚健『ある閉ざされた雪の山荘で』(24)。a.k.a. 「そして田所の強姦未遂の事実だけが残った」。あれを無かったことにした時点で本作のモラルは最低と知れる。空想描写とはいえ「山荘」が「閉ざされ」る程の雪が降り募っていない時点で雪国をなめていると知れる。謎解きのテンポがもたもたしている。
 面白いのは、この密室「劇」が「幽霊屋敷もの」と同じ枠組みをもつことだ。下敷たるA・クリスティの『そして~』が既にそうなのかも知れぬが、「犯人」の仕業を「幽霊」のそれに置き換えれば、登場人物らが定点カメラを用いて幽霊調査に興じる『パラノーマル・アクティヴィティ』の様になっただろう。
 実際にはぐだぐだの『名探偵登場』みたいになっていたのが残念(ということはやはりクリスティの『オリエント急行殺人事件』のパロディに『ある閉ざされた~』が近づくということか)。車椅子などは純然たるゴシック・ホラーの意匠で、とすれば押し入れではなく「屋根裏」をうまく使いたいところだった。
 
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