旅するランナー

ムーミンパパの思い出の旅するランナーのレビュー・感想・評価

ムーミンパパの思い出(2021年製作の映画)
4.0
【ムーミンシンフォニー】

チェコのプラハ交響楽団による高尚な音楽が全編に流れます。
それが、若かりしムーミンパパによる冒険の旅のシーンとマッチしているかと言われると、素直にうなずけません。
ねえ、ムーミン、あっち向いて、と言いたくなります。

でも、チェコの楽団によるオーケストラ曲が使われていることで、イジー・トルンカに代表されるチェコアニメの雰囲気を醸し出しています。
さらに、幽霊くんのような、エドワード・ゴーリー的キャラが次々登場し、うろんな滑稽さをまき散らしていきます。
僕はこの世界観が好きです。

生活に退屈しているムーミンに、ムーミンパパが若き日の冒険を語る形で物語は始まります。
そこには、ムーミンファンも驚きの事実がチョロチョロ出てきます。
・ムーミンパパは、みなしごホーム育ち
・ニョロニョロの生態
・ムーミンママとのなれ初め、など

ムーミンパパが乗り込む船の名前が「海のオーケストラ号」ですから、フレドリクソン、ロッドユール、ヨクサルなど、日本人には馴染みのない登場人物たち全てとシンフォニーを奏でるようです。
端役のキャラそれぞれの個性が際立ち、共鳴していきます。
そして、なぜか心に残る、素晴らしい名言もゾクゾク出てきます。
やっぱり、僕はこの世界観が好きです。