旅するランナー

青春18×2 君へと続く道の旅するランナーのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.6
【台湾への、そして、日本へのラブレター】

18歳台湾人男性による台南での青春と初恋。
そして18×2=36歳になってからの、思い出と人生を確認する日本旅。

主人公ジミーの18歳と36歳を演じ分ける、シュー・グァンハンが、とにかく素晴らしい。
「僕と幽霊が家族になった件」のハッチャケぶりも楽しめたけど、落ち着いた雰囲気も最高です。
日本でも明星(スター)になりますね、彼は。

そして、ちょっと年上、22歳の日本人お姉さんを演じる、清原果耶のナチュラルな演技にも好感が持てます。
覚えたての中国語をちょっと使って、ウブな年下の男の子をからかう姿に、全男子は恋に落ちるでしょう。
ある意味男子にとっての理想の女性像ですね、彼女は。

物語は、「スラムダンク」「ラブレター」などへのオマージュを見せながら、日本での鉄道旅へ進んでいきます。
旅先での一期一会を繰り返す、この旅情もたまりません。
何度も胸が熱くなります。

僕も、台湾に住んでたことがあります。
台南では、友人の家に泊めてもらったり、
(おばあちゃん手作りの粽子ちまきが美味しかったです)
結婚式に参列させてもらったり、
(結婚式は、普通の道にテントを張って行われ、ダンスチームがやってくる)
夕方、散歩していると、公園でカラオケしているお年寄りグループがいて、飛び入り参加させてもらったりしました。
(歌ったのは「星影のワルツ」でしたね)
そんな当地の人情味を思い出しました。

今作では製作側に回っている台湾俳優チャン・チェンと藤井道人監督のタッグにより生み出された、台湾・日本双方へのラブレターのような温かい映画になっています。
台湾ラバーとして、感謝の気持ちで一杯です。
「休息是為了走更長遠的路」という言葉にも深い味わいがあります。