けんくり

ぼくは君たちを憎まないことにしたのけんくりのレビュー・感想・評価

4.5
どこからやってくるかわからない理不尽な悪意。いつ誰がそれに遭遇してしまうかわからない世の中で、自分や家族も例外ではない。全く他人事ではない。

それに立ち向かうためにこの家族が考えだした術は、「憎しみを持たない」ということ。憎しみに憎しみで返すのではなく、憎しみに染められないということこそが勝利。

「負の連鎖を断ち切る」とか「愛が勝利するのだ」とか、そんな崇高な綺麗事に聞こえるかもしれない。でもこれは聖人でもなんでもない、ただ悲しみに苛まされ、育児に悩む男の切実な想いから生まれたもの。

憎悪や怒りに屈しそうになる自分を守るために、子どもにネガティブな感情に囚われず、明るい未来を見せてあげるために編み出された信念である、ということに本当に勇気づけられた。

「憎しみを持たないことこそが勝利」これは人生における大切な価値観として、ずっと残り続けるフレーズになりそう。