家族を失った彼らの苦しみと悲しみは計りしれなく想像を絶することは言うまでもない。彼らがとった行動は本当に勇敢で聖人にもみえるが、決して憎しみがないわけではなく、それが途轍もなく強大で邪悪だからこそ、負の連鎖を断ち切ろうとする決意が伝わってくる。同時に憎しみとその善意の間の葛藤が見え隠れする様が凄く苦しく痛かった。
我が子が憎しみや恨みを背負って生きていかないようにと吐露する様からは、我が子を大切にしていた彼の妻の想いを汲み取ろうとする決意とともに、彼の妻への溢れんばかりの愛を感じた。
憎むことは容易だが、赦すことは本当に難しいとつくづく思う。本作のような加害行為であればなおさら。それでも、彼のような人の想いが他の多くの人へと伝わり想いや苦しみを共有することで、互いを想う気持ちが新たに生まれ、それがさらに伝染していくのではないだろうか。わたしも他者の苦しみや悲しみを少しでも理解しようとし相手に少しでも寄り添う努力をしていきたいと思った。理不尽な出来事や不条理が襲いかかっても続く人生。彼ら親子の前向きな生き方から1日1日を前向きに大切に生きようと強く感じることができた。