Rain

52ヘルツのクジラたちのRainのネタバレレビュー・内容・結末

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本屋大賞原作、旬なキャスティング、そして公開300館規模という要素に加えて、予告の印象などから、いい感じにポジティブなエンディングが待っている系だろうと気楽に構えていたのに、市子に引けを取らないくらいの鬼展開。とどめに志尊淳の結末は、今も引きずるレベルで凹む。

描かれるテーマ自体はとても悲しいのだけど、私は杉咲花ちゃんの涙が本当に本当に好きだと実感。素晴らしい演技だった。居酒屋で「生きたい」と本音を絞り出すように泣くシーンは、予告見るたびに泣いてたけど、その背景を知って本編でも涙が止まらなかった。というか、終始泣いてた。遺書を見つけてしまったところは、花ちゃんと余貴美子さん2人の動揺した姿が妙にリアルだったな…本当に娘・親友を亡くしたらこうなるのかも。

それと、志尊淳がこういう役をやるフェーズに入ったということかと感慨深かった。数週間前にインスタで「髭が似合ってない」という想像力のカケラもないコメントをしている人がいて、それに対して「俺もそう思う。でも映画観てもらえたらわかってもらえると思う。」というような言葉を冷静に綴っていて、なんだかとても頼もしいなぁ〜と感じてた。本編みたらなるほどそういうことかと納得。確かに自分も見慣れない髭に違和感はあったが、背景や真意を何も知らないままSNSで(しかもわざわざご丁寧に本人に)あーだこーだ言うことの愚かさを改めて感じた。

倍賞美津子さんは短いシーンでも安心感があって、いい感じのアクセントでした。唯一無二の存在感、さすが…

私的アツいキャスティングだった金子大地と小野花梨は、その良さが生かしきれていないように感じて残念。金子大地は爪痕残したくてうずうずしてるように見えたし笑、小野花梨のひたすら明るい親友という役どころには物足りなさを感じてしまったのが本音。

全体的にセリフがところどころ不自然で、泣き喚くシーンが過剰だったり、殴ってるふり感やダメ親演じてる感が出てしまっていたり、気になる演出はかなり多かったけど、それを遥かに上回るほど杉咲花ちゃんが素晴らしかったので、本当に観れて良かったです。

(DVシーンは「流浪の月」の横浜流星を思い出し、誕生日前日にあのシーンをよく撮ったなと、改めてそのすごさを噛み締めた。余談。)
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