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スペースキャンプの一人旅のレビュー・感想・評価

スペースキャンプ(1986年製作の映画)
3.0
ハリー・ウィナー監督作。

体験学習“スペースキャンプ”に参加中、思わぬアクシデントにより宇宙へ旅立ってしまった子どもたちの地球帰還への奮闘を描いたSF。

娯楽映画としてはアメリカらしさがあって楽しいのだが、さすがに荒唐無稽というか現実味が無さ過ぎて...。体験学習の一環で、本物のスペースシャトルに搭乗した5人の子どもたち+女性インストラクター。少年マックスお気に入りのお手伝いロボットが「遠くへ行きたい」というマックスの夢を叶えるべく、シャトルを宇宙へ向け発射させてしまう。宇宙へたどり着いた子どもたちは地球へ帰還するため一致団結して奮闘する...というありえない設定のSF。子どもを宇宙へやってしまうNASA側の失態・責任・損害は計り知れないし、普通そんな大事件起こしたら全米が大パニックになりそうなものだが、宇宙へ旅立った子どもたちもNASAのスタッフも意外に平静で、焦りも案外感じていない様子。

で、5人の子どもたちがめちゃめちゃ有能というのがこれまた凄い。瞬間記憶能力保持者だったり、モールス信号を巧みに操るギャル、船外活動を難なくこなす少年(10歳)。体験学習で学ぶ程度の知識と技量だけで、シャトルの操作から船外活動、宇宙ステーションとのランデブー、大気圏突入までやってのける天才キッズ集団。途中まで女性インストラクターの指示やアドバイスに頼りながら行動するのだが、後半からは完全に子どもたちだけで地球帰還に向けて奮闘するから驚き。

初めての宇宙空間で当然のごとくトラブルに見舞われるのだが、その中で一番の問題は“酸素の確保”。宇宙での大半のシーンが、酸素を確保するための決死の作戦を描くことに割かれる。ここでもちょっと謎な演出あり。宇宙ステーションの外側に引っかかった小さい酸素ボンベを回収しようとするのだが、そもそもなんで宇宙ステーションに引っかかっているのか謎だし、そんなスキューバダイビングで使用するような小型ボンベだけで6人が乗ったシャトル全体の酸素量をカバーできるの?

とまあ、突っ込みどころ満載&細かいことは気にするな精神の超娯楽作だが、シャトルの打ち上げシーンは実際の映像を使用しているので無駄に迫力がある(ちょっとズルい!)。また、ジョン・ウィリアムズの音楽はさすがに秀逸で、場面の盛り上げ方が絶妙。ちなみに、ジョン・ウィリアムズは『E.T.』の音楽を手掛けたことで知られるが、本作にも『E.T.』を意識したキャラクター(ロボットですが)が登場します(ト・モ・ダ・チ~)。
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