オープニングの社会派路線の導入の完成度が素晴らしかったが、内容の突き抜け感があと一歩だった気もするし、これはこれで2023年を代表する韓国映画の代表作であった気もするし。
何というか、
①韓国映画のクオリティが高いことは『パラサイト』の世界的ヒット以降映画ファンは周知の事実
②韓国人の「自分さえよければそれで良いマインド」ももはや世界的に知られたプロット
③韓国映画のバイオレンスや復讐劇、家族愛や兄弟愛、残忍で衝撃的なシナリオ、これらはもはやお約束
という「韓国映画で大作っつったらこれらを超えてくれなきゃこちとら満足しませんぜ」っていうのがありますよね。
本作はギリギリでそれを超えてくれなかったかなぁっていう…。かと言ってつまらないわけじゃなく。
個人的にはね、本作の大災害がアニメ的な未曾有の悲劇なら理解出来るけど、そこそこの人数が生き残るって設定の時点で無理があるような。だってこんな状況で生き残った人が居るのなら自治体や国が何もしないなんてありえないよね。ネットもどっか吹っ飛んじゃったってこと?生き残りを賭けたリアルサバイバルドラマならば現実味が無い。
◆良かったところ
大作映画に久々出演のパク・ボヨンの演技と役どころが一番見どころだったかな。「ひねくれガール」か「マドンナアイドル」的な女の子を多く演じてきた彼女にとって本作は目を引く輝き。元々演技力が高い役者だけど…良い女優になってきたなぁと嬉しくなりました。
パク・ソジュンの役はなんだか…気の毒!?うん…イケメン枠では無かったかな。
◆総じて
気合いの入った大作なのは間違いないのだけど、設定の風呂敷を広げ過ぎかと。ポン・ジュノのように人間の性のくすぐったいところを突くような着地にした方が好みだった。所々はポン・ジュノ感があってグッと来たのだが。スケールがデカ過ぎてSFスリラーに近いような。