tempp

トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代のtemppのレビュー・感想・評価

3.1
ファンのファンによるファンのための映画。

それが第一印象。
これは加藤和彦を崇拝する人間によってその素晴らしさと天才性を回顧する映画だと思う。映画を通して加藤和彦は確かに天才だと感じる。けれどもそれ以前にこの映画から求められているのは同調性で、ファンに向けた映画と思う。
その意味で僕はターゲット層がアウトしている。

そうすると少し、居づらさを感じる。言葉は悪いけれど、たとえばオタサーのイベントにうっかり参加した時にその空気感によって生じる場違い感というか。
当然ながらこの映画に出てくる人はみんな加藤和彦が大好きだ。誰もかれもが素晴らしかったと褒めそやす。崇拝しているといえそうな人も何人もいる。誰も彼もが加藤和彦を褒めまくる。それが当然の映画だから、加藤和彦のライブやコンサートといった楽曲自体の素晴らしさを表す映像の比率は比較的低い。
ようするにこれは、加藤和彦が素晴らしいことを知悉したファンのファンによるファンのための映画で、ライブなんかで一緒に盛り上がったあとの同一性を求めているため、それからアウトするぼくは 少しいづらい。
ファンじゃないなら見るなよといわれるなら、誠にその通り。

僕にとってフォースクルセイダースは少々時代が古く、サディスティック・ミカ・バンドも少し時代をアウトする。そして『あの素晴らしい愛をもう一度』は学校唱歌で歌った世代だ。そして若い頃の自分は(今もある程度そうかもしれないが)、あまり音楽に興味がなかった。
加藤和彦という人はすごい人だったの十分にわかったが、多分よく知らなかったのが僕の敗因。
tempp

tempp