Bob

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦のBobのレビュー・感想・評価

3.4
何にも伝わってこなかった。

全く触れてこなかったこのコンテンツ。
テレビアニメは最新話、原作を33巻まで読んだ上で鑑賞。
ただでさえ漫画の試合シーンは手に汗握る場面が多いのに、映画版になったらどうなってしまうのか、周りの評価も高いのですごい期待してました。

が…良いところもあった反面、物足りない劇場版だったなというのが正直なところ。

そもそもテレビの続きなので、一つの映画作品として観るのは難しいんですけどね。

・良かった点
自分もそこにいるかと錯覚するような試合シーン
後半のカメラも一緒に呼吸する場面は出色
サクッと観れる上映時間

・悪かった点
短すぎる上映時間
その割に良いとは言えないテンポ
フォーカスされるキャラの少なさ
固まって動かない背景の人たち

まず上映時間が短い点。
今作は全国大会の3回戦を映画化したものですが、2回戦はアニメで8話とか9話分、約160分以上かけて描かれてました。
対し今回はそのおよそ半分の尺。

実際の試合時間と同じ85分にしたとの事ですが、外野による解説やメインキャラの回想をたっぷり含んでの85分なので試合場面はかなり短めでした。
劇場版という事でアニメより迫力もパワーアップしているも、回想が頻繁に入る為いちいち流れが止まってテンポ悪い。見せ場もぶつ切り。
ピンチ→回想→逆転→回想→ピンチ…って流れが繰り返されて萎えてしまいました。

日向のいる烏野高校が闘う音駒高校はこれまで何度か対戦済みですが、時には一緒に練習する場面もあり、敵というよりライバルという清々しい関係。
こんな交友関係いいなーと思いながら読んでました。
互いに認め高め合って来た両校がいよいよ全国大会というまさに晴れ舞台で激突という熱いエピソードなのに…たった85分で片付けられる寂しさ。

短い尺のせいでフォーカスされるキャラも絞られ魅力的な部員も背景になってしまって残念。
どちらかというと主人公日向ではなくライバルの狐爪、黒尾がメインになってました。

ちなみに一昨年大ヒットしたファーストスラムダンクも今作同様1つの試合を描いたもので、回想や各キャラの説明も挟む構成もクリソツ。
ただあちらは今作より約40分も長い124分。
主人公サイドに全員ガッツリキャラ説明と見せ場を盛り込んだ事で全キャラに感情移入できるようになってました。
試合シーンもたっぷりで、観終わった後の満足度たるや素晴らしかったです。

ハイキューに関してはせめて主役となる烏野高校6人全員分に見せ場があって欲しかったし、試合シーンも足して100分前後で仕上げて欲しかったですね。

それと動かない背景について。
今作はデカい体育館が舞台なので主人公たちがバトってる隣でも別のバレーの試合が行われてます。
各キャラの後ろに他校の選手もいるのですが、全員固まって動かない。テレビ版ワンピースかよと。
ただでさえ尺削ってるのに背景までおざなりにしてる気がして伝わってくるものがなかったです。

観終わった後、これで終わりかーちょっとガッカリしたなーと思いきや、周りの女性客がみんな泣いててビックリ。
数少ない男性客は僕同様スン…という感じなのに。

出口に向かう途中で女性陣によるメインキャラ達への愛溢れる感想を聞き、アニメ版のハイキューはスポ根アニメはなくバレーに青春をかける男の子達を愛でるコンテンツだったんだなと気付きました。というか思い知らされました。
あざとく見える演出がやたら目に付いたのもそゆことかーと。

長年キャラに触れてきた方々の思い入れも強いでしょうし、かたやにわか仕込みの新参者では見方が違うのも当然ですよね。
普通に楽しめる人もいるんでしょうけど。

上映時間が短いのも繰り返し客を呼ぶ前提なのかもしれません。

ファンに好評なら良いと思いますが、僕は漫画で充分でした。
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