これをどう評価すれば良いのか。
狐爪研磨の一人称が積極的に取り入れられ、それが負けたら終わりの試合への感情移入に役立っていることは否定できまい。
しかし、挟まれるカットは、原作やアニメ版を知らなければ脈絡の欠けすぎたものにも思え、私がアニメを見ているから感情を刺激されているのかの判断が難しい。
また、音駒高校の面々のドラマが、後半になるにつれて次第に映画本筋と混ぜられていくのだが、映画のなかで扱われる人数が多く、少しとっちらかった印象を受けた。
この試合がずっと続くといい、という研磨の感情に観客が寄り添え、試合の流れを固唾を飲んで見守る格好になればおそらくこの映画は成功なのだが、そしてそれを達成しうる要素は認められるものの、
個人的には、そこに対し少しパワーが足りないように感じてしまった。
ひとえに登場人物の多さにより、物語がしばしば進行をカットされることや回想の多さゆえだと思う。
ただ、アニメ映画で観るならば、というとき2024年のおすすめ上位に挙げられるのは間違い無い。
