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春の画 SHUNGAのtemppのネタバレレビュー・内容・結末

春の画 SHUNGA(2023年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

春画というのは北斎のラリったオノマトペ愉快くらいの知識で鑑賞しました。

ドキュメンタリーの真骨頂とは、知らない知識や感情を得ること、だと思う。
ようするに自分が知らないことを知るとか知っていたこととのギャップ差という知識の対比を楽しむものだと個人的には思っている(同意は求めない。
その点において、あまり造詣のない春画についてのドキュメンタリーというのはとてもおもしろかったのです。

けれども一方で、ドキュメンタリーとしての日本での難しさというのを実感した作品。
春画とは何だろうと考えた時、その第一は子孫繁栄でも夫婦和合でもなくエロというか性的興奮だと思う。この映画はR18ですから、モザイクなしの春画がバンバンでてきます。けれどもその中の話題に人に性的興奮をもたらすかどうか、という観点はない。春画表現についてもアレの艶とか(多少絵を書く身としてはアレのシンプル線画もほのかなピンクみもすごい表現力と思うけど)じゃなくて毛の流れなんですよ(技術はすごいと思うまじに。
なんでこんなことになっているのかというと、おそらく編集段階か企画段階で、徹底的にエロを弾いたんだと思う。全員が全員エロぶっぱじゃなくてもいいけれど、春画の目的を夫婦和合と子孫繁栄の観点でしか語らないのは不自然な気がする。中身に触れず奥様方がキャッキャウフフしてたらしいというのが上限点。そう考えると、この作品は否定しつつも芸術の方に押しやろうとする勢力に僅かに力負けしたのかなって思うの。

ドキュメンタリーというのは基本的にはいわゆる空想作品ではないぶん、余計に思想信条だとかパッションとかそういうものを込めるべきものだと思う(個人の好みとして。
ミニシアターがほとんど滅びた今となっては映画館市場では大資本に負けるのは致し方がない時代の流れを感じます。頑張れ動画勢。
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