くまねこさん

MR. JIMMY ミスター・ジミー レッドツェッペリンに全てを捧げた男のくまねこさんのレビュー・感想・評価

3.5
「MR. JIMMY ミスター・ジミー レッド・ツェッペリンに全てを捧げた男」を新宿シネマカリテで鑑賞。まさしくジミー桜井の狂熱のライフドキュメンタリー映画だった。これは面白かった!

「レッド・ツェッペリン」のギタリスト、ジミー・ペイジになりきり、完全再現することをライフワークとするジミー桜井を追ったドキュメンタリー。ピーター・マイケル・ダウド監督。

特注のステージ衣装、レスポールの弦、ピックアップ、トーンコントロール部品、マーシャルアンプのコンデンサー等々、ジミー桜井氏のこだわりが半端なくもの凄い。またバンドメンバーへ要求する演奏レベル、発声なども厳しく、時折り彼の狂気が垣間みれた。

クライマックスは意外にも前半に現れる…
ある夜、南青山のgigabar TOKYOで演奏していたら、憧れの神、ジミー・ペイジ氏がお忍びでステージを観ることになり、桜井昭夫さんの運命が変わる瞬間の映像は感動的だった。

家族を置いてロサンゼルスに渡り、コピーバンド、Led Zepagainに加入し100公演程度ライブを行うが2年で脱退。その後はメンバー探しに苦労したり上手くいかない日々(それはそうだろう)

桜井さんはユニコーンの手島いさむ氏の様な御顔で物腰やわらかい話し方なのに、完璧な再現やこだわりが激しく、バンドメンバーにも容赦ないダメ出しもあり、ジミー・ペイジというよりリッチー・ブラックモアの様にも見える…

完全再現へのあくなき追求なのか、エンタメに徹したビジネス観の違いから、マネージャー、メンバーとの衝突するのも理解できる。(桜井さんとバンドを上手くやれる人は少ないと思う)

メンバーへの要求が厳しくなるのも解るが、それならば、いっそジョン・ポール、ジョーンズ、ロバート・プラントたちとバンド組んだら良いのでは?と思って観ていた。

故ジョン・ボーナムの息子で、ドラマーのジェイソン・ボーナムからオーディション勧誘の電話連絡があるってやはり幸運…✌️ある意味、また夢が叶った様なもの。

桜井さんの、ジミー・ペイジを完全にコピーする夢という名の狂気は枯れる事なく死ぬまで追求してほしい。あれだけ卓越した技量あるギタープレイがあるなら彼自身のオリジナリティを表現することもできるはずだが、ジミー・ペイジになりきるという崇高なアマチュアリズムは素晴らしい。

レッド・ツェッペリン、ジミー・ペイジという偉大なブリティッシュロックの文化遺産をこの世界から絶やさぬよう極めてほしいと切に願う。