にゃーめん

Saltburnのにゃーめんのネタバレレビュー・内容・結末

Saltburn(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

全編に渡ってバリー・コーガン100%を味わい尽くすような作品。

全世界のバリー・コーガンファンはスタオベするような作品(だよね?)

キャンパスライフを謳歌する甘酸っぱい学生同士のブロマンスを感じさせる展開を期待しながら鑑賞していたら、背中を急に蹴られて頭を岩に打ち付けられていた…そんな刺激的な作品。

物議を醸した「プロミシング・ヤングウーマン」のエメラルド・フェネル監督・脚本なので、そりゃあシュワシュワした甘い青春モノを撮るはずもなく、またやってくれたな〜〜!と、してやられた感満載。

何を考えているのかさっぱり分からない、おぞましさと不穏さを持つ大学生の主人公オリバーのキャラクター造形がとにかく、キショ可愛い。たまらない。

女性の場合はファムファタル的な魅力で人を惑わすというキャラクターがありがちなところを、
パッと見は冴えないチー牛ガリ勉男子学生が、実家が太い友達の家に「パラサイト」していくという展開にグイグイ引き込まれた。

あのガラス玉のような美しい瞳と、人の心のスキマにスッと入っていく人心掌握術で、ソルトバーン邸の人々を次々と籠絡していく様が見事なハマり役で、当てがきかと思うほど。

特筆すべきは、友人フェリックスとの生々しく咽せ返るようなシーンの数々。
(2人の身長差がこれまた良い…)

自分が持っていないものを全て持っている彼を疎み、歪んだ方向で愛し、愛するが故に彼の全てを壊し、支配したくなった…という、偏愛の果ての凶行。

オリバー自身は中流階級生まれで十分恵まれた立場であるにも関わらず、いくら努力しても上流階級のフェリックスとは、友達でも、一生対等の関係にはなれず、カットン家の人々からは、ぞんざいに扱われる。

富裕層特有の悪気のなさ、自分が騙されているとは全く思っていないピュアさが、事態を悪い方向に向かわせているというのも、胸糞指数が高まっていくのも良さの一つ。

富裕層が痛い目を観る映画が好きな人にはたまらない作品でもある。
(類似作品:「逆転のトライアングル」)

ジャンルはアマプラでは「コメディ」に分類されているのは納得いかないが、ラストはフ◯チンでダンスしているので、コメディ枠にも妙に納得するのであった。

今まで、バリー・コーガン好きと公言すると、眉をひそめられる肩身の狭い思いをしてきたが、彼の魅力を余すところなく最大限に引き出してくれた今作は、ほとんどの感想が、キモい、生理的に受け付けない、家族とは観れない、と評判が上々のようで、ファンとしては大変喜ばしい。

そんな風に評価された彼を胸を張って今後も「好き!」と言い続けようと、心に決める1本であった。
にゃーめん

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