【スターウォーズ構想と、もう一つのフレーバー】
※ BOND IS BACK 60 years 007 4K
1990年代のソ連が崩壊した世界で、1980年代にアメリカが計画していた”スターウォーズ(戦略防衛)構想”に着想を得た人工衛星兵器を巡るストーリーが展開する。
そして、イギリス、ロシアに恨みを持つ第三の存在が登場し、それが実はジェームズ・ボンドの同僚で友人の006ことアレックというのが、物語にもう一つの重さを持たせると同時に、第二次世界大戦のなかで如何に少数民族が蔑(ないがし)ろにされたのかも想起させる展開になっている。
この頃から、映画の中には蔑ろにされた人や民族がストーリーを動かす存在になることが増えてきたと思うが、この作品も、基本的にスパイ・アクションに重きを置きつつ、コサックとは何か、どのように翻弄された民族なのか、そして、アレックの存在がジェームズ・ボンドの任務遂行にも心理的な影響を与えることになる。
ただ、アレックの右腕となる女性兵士が想像以上に野生的で強すぎて、アレックに気持ちを寄せられないみたいな突っ込みどころもある。
更に、Mが初の女性というのも特徴だが、これはイギリスのMI5の長官が女性になったことも影響したと言われている。
主題歌を歌うのがティナ・ターナー。大迫力だ。
この頃は、歌の背景が相も変わらず裸の女性のシルエットで、ある意味時代も感じさせるが、最強の女性兵士も登場するなどしていて、ご愛嬌というところだろうか。
巨大パラボラが湖から出てくる場面は、マジンガーZの秘密基地のようで実写としては大迫力だ。