ワンコ

007/ ロシアより愛をこめて 4Kレストアのワンコのレビュー・感想・評価

4.2
【スペクター】

※ BOND IS BACK 60 years 007 4K

中学時代の英語の先生が、映画好きで、「From Russia with Love」の邦題タイトル「ロシアより愛をこめて」は名訳だと言っていた。
場面としては、ジェームズ・ボンドが、マネーペニーに、最初にwith Loveと書いてから、From Russiaと書き足すところがたまらないのだそうだ。

この作品では、宿敵となる国際的犯罪組織スペクターが登場する。こうした第三の組織は、その後のスパイ・アクション映画に多大な影響を与えたと思う。

国連は、そもそもソ連の暴挙を防ごうと設立されたと言う人がいるくらいだが、この作品が制作された頃は、冷戦の真っただ中で、”国家対国家”など両陣営のスパイ合戦となりがちなところ、こうした緊張の間隙をぬって犯罪を画策するスペクターなる謎の存在を登場させたことは、時代を先取りしたというか、作品にもう一つのフレーバーを与えたことは、映画シリーズに広がりを持たせ、ジェームズ・ボンドの人気も確固たるものにしたと思う。

ただ、今こうして観てみると、スペクターの計画は非効率的というか、私怨ともつかない恨みがあったりして実にまだるっこしいし、イギリスに持ち帰る暗号解読機のケースは、タイプライターのケースにしか見えないし、まあ、時代が時代なんだなと改めて感じる。

それに、なんとなくソ連に気を使い過ぎじゃないのかと思えるところもあるし、当時ソ連の衛星国と言われていた東欧社会主義諸国については、その列車移動のなかで、かなりやりたい放題なので少し笑ってしまう。

エンディング、フィルムをベニスの運河にポイ捨てするけれども、現在では、こうしたマイクロプラスチック汚染を想起させる場面は今では、ご法度だろうななんて思ったりした。
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