このレビューはネタバレを含みます
「絶対」でありたい少女たちの、終末ヘンテコ日常譚!
最初に言っておきますが、私は本作に関してあまりノれなかった口でした。
全編を通して繰り返される文字出し演出と、その際に流れるSEにどこか軽さと安っぽさを感じて、萎える自分がいました。(タイトルバックにも同様の感想を抱きました)
各所で絶賛されているようですが、あのちゃんを筆頭とした声優の声とキャラクター(或いは、アニメーションとのバランス感)が合致しているようには思えず、冒頭のハマらない印象を最後まで引きずってしまいました。(あのちゃんに関しては、あのちゃんが喋っているようにしか思えませんでした)
また、本作は前編(前章)の位置づけであるため仕方ないのかもしれませんが、後半部でガッツリ門出とおんたんの過去編をするなら、前半部で提示していた伏線(現在時間軸での関係性や、おんたんがハイテンションな性格になった経緯等々)を、1つでも2つでも回収してほしかったです。
後半部の過去編は、前半部で描写されていた2人の思い出とは少しずつ違っており、その辺りの謎は後編(後章)へ投げてしまっていることになるため、1本の作品として観るとどうにも消化不良感が否めませんでした。
これは個人的な意見になってしまいますが、露骨に『ドラえもん』パロディをするなら、もっと色々な内緒道具を使ってほしかったです。
門出が凶行に走る中、同じ道具しか使わなかったのは、勿体ないなと感じました。
ただ、すべてすべてが悪かったと言いたい訳でもなく、冒頭の「母艦」出現から引き込まれるOPシークエンスでしたし、現実世界(それも令和)にも共鳴する世界観設定や、作劇にフィットした劇伴も素晴らしかったです。
また過去編にて、侵略者に人類が良い奴であることを伝えようと奔走し、結局己が正義を実現するにあたって、人殺しも厭わない門出の姿は、他者を省みない潜在的な悪性を映し出していて、非常に興味深かったです。
あとベタではありますが、キホの死に対し、平静を装っていつものテンションを保つおんたんの姿にも涙を誘われました。
最後にもう1つ良かった点を付け加えておくと、門出とおんたんの衝突のシーンも両者の考えが痛いほどわかる、丁寧な描写の積み重ねがあったため、心を引き裂かれそうになりながら観させて頂きました。(絶対的に思い合いながらもすれ違ってしまうという、感情的な衝突は『ソウルメイト』とも通じる部分がありましたね!)
総じて、全編に渡ってノイズを感じる部分が多くあり、テーマ性やアニメーション作品としては素晴らしいながら大絶賛とはならなかった作品でした!