このレビューはネタバレを含みます
東京の滅亡は見応えがあった。
門出を救うためおんたんが払った犠牲。
消し飛ぶ市民たちに、おんたんの門出に対する遥かな愛情を感じ、そのことの歪さがとても興味深い体験だった。
正義の危うさというテーマを提示した前章に対し、利他でも功利主義でも義務論でもない「誰のヒーローでいたいか」というエゴイズムで応答したことはかっこいいと思う。
アスペクト比を利用した演出も熱かった。
映像体験として素晴らしいアニメーション映画。
インターステラーの四次元空間を思わせるシーンもあって少しニヤけた。
容赦なくむごいバイオレンスを描いた割に、爆心地の大葉が生還しているのは手ぬるいのではと思った。
侵略者たちへの同情をあまりに駆り立てる殺害シーンも、観客にバツの悪い不快感を与えているだけで、結局ストーリー上うまく作用したと言い切れるほど彼らを描ききれていない。
もともと彼らが地球に住んでいて、侵略者は人間だという設定も、ただ私たちの気持ちを微妙にさせるだけで物語には生きてこなかった。
侵略者の中身が青い顔をした人面だったことも単なるジャンプスケア気味。
綺麗事を忌避しすぎて、ただの露悪になってしまっているように感じる。
設定はマッチョだが、その筋力を物語という運動に活かせていない。
ムキムキの設定を披露することが展開の主軸になってはいないだろうか。
スポーツ観戦のつもりできたらボディビル大会だったようなアレレ感。
話したいことがたくさんある口下手な人のような映画。
テレビアニメシリーズの総集編映画だけ見たような気分。