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クラユカバのKUBOのレビュー・感想・評価

クラユカバ(2023年製作の映画)
4.5
「塚原重義」この人は新海誠以来の新しいアニメ界の才能だ!

作品の隅から隅まで、個性に満ち溢れている。「絵」や「空気感」だけで作家性を感じさせるって、生半可な才能じゃない。

オタク過ぎるこだわりが随所に散りばめられていて、見ていてうれしくてニヤニヤしちゃう。

大正時代を思わせる旧仮名遣いや右から書かれた看板が「レトロ」な異世界に私たちを誘う。

「白昼夢」を思わせるようなちょっと不気味な「お面」をかぶった人たち。

昔の無声映画を思わせる「人形劇」に、活動弁士のナレーションが重なる。

地下世界は霞がかかったような色使いで、まるで「アート」のよう。

そのアートのような異世界と、探偵「荘太郎」を演じる「神田伯山」の名調子で、作品の個性はさらに唯一無二のものに!

地下鉄の線路の先に広がる「クラガリ」の世界。

連続して起こった失踪事件の謎を追って探偵は「クラガリ」のその先へ…

「クラガリに曳カレルナ」

目眩く「塚原重義」の描く異世界での冒険に魅せられ、61分はあっという間だ。

ただ、情報過多な上にスピーディーな編集。そしてキャラクターの過去や背景など匂わせるだけ匂わせて、よくわからないまま終わる。まるでシリーズものの第一話を見たようだ。

…と思ったら、それは監督の思惑通りだったようで、監督も続編を作りたいから余白を残したと(笑)。当然、続編希望です!

塚原重義『クラユカバ』、アニメファンは絶対見るべき新しい才能だ!
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