MasaichiYaguchi

シンデレラガールのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

シンデレラガール(2023年製作の映画)
4.0
「子宮に沈める」「飢えたライオン」などで社会の歪みを描いてきた緒方貴臣監督が、片脚を失くした主人公が義足のファッションモデルとして生きるなかで訪れる心境の変化を描いた本作は、障がい者を題材にしているものの、外見ではなく、内面から滲み出る美しさを、少女の成長と共に映し出す。
12歳の時に病気で片脚を切断し、入退院を繰り返していた音羽は、中学校の卒業式に参加出来なかったが、クラスメイトたちが病院の屋上でサプライズの卒業式を開いてくれた。
その様子を映した動画がSNSで話題になり、音羽にモデルのオファーが舞い込む。
義足の女子高生モデルという特異性で一時的に注目されるも、その後の仕事は義足を隠したものばかりだったが、或る時、「義足を障がいの象徴でなく、個性として捉えてほしい」という声に心を動かされた音羽は、もっと義足を前面に押し出していこうと決める。
そんな彼女に、夢だったファッションショー出演のチャンスが舞い込んでくる。
タイトルに「シンデレラ」と付いているが、本作にはヒロインを助ける白馬に乗った王子様も魔法使いも登場しない。
ヒロインは降りかかる災難や困難に向き合い、自らの意志と努力で立ち向かっていかなくてはならない。
そこには生きること、夢を諦めないこと、そして彼女の凛とした姿勢が、スクリーンから美しく伝わってきます。