Shin

シンデレラガールのShinのレビュー・感想・評価

シンデレラガール(2023年製作の映画)
4.3
 ポスタービジュアルから勝手にホラー要素が入っているのかと思ってましたが、主人公の音羽(伊礼姫奈)の葛藤と成長を描いた物語。

 前半は登場人物とカメラの距離が近かったり、照明が異なっていたりとテレビを意識した撮影の仕方で、後半は映画の撮影方法と、明らかに区分された画づくりが特徴的です。

 これは舞台挨拶で聞いた話ですが。10年前に義足をテーマにした映画を撮ろうした際に、プロデューサー(本作とは異なる)からわかりやすいお涙頂戴の話にしようという圧力がかかったところ、監督が拒否して、映画が頓挫してしまったそうです。再び陽の目を見た本作はそのアンチテーゼが込められているのだとか。

 終盤の長い暗転もそのような監督の信念を音羽の決意と覚悟に乗せた表現だった気がします。

 監督がキャストのオーディションをした際、伊礼さんが会場に入ってきて、一目見て音羽役にキャスティングしたのだとか。確かに彼女の強い眼差しと、存在感には惹きつけられました。

 感動ポルノにしたくないという監督の強い意志が表現された素晴らしい作品です。

 
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