MasaichiYaguchi

ホゾを咬むのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ホゾを咬む(2023年製作の映画)
3.2
映像作家・高橋栄一監督が、自身の経験に着想を得て手掛けた長編作品は、独自の視点と切り口で「愛すること」をテーマに、或る一組の夫婦の有り様モノクロームの映像で描く。
不動産会社に勤める茂木ハジメは結婚して数年になる妻のミツと2人暮らしをしている。
或る日の勤務中、ハジメは普段とは全く違う格好のミツを街で見かけるが、帰宅後に本人に聞いてみると、ミツはどこにも外出していないと言う。
ミツへの疑念や行動を掴めないことへの苛立ちから、ハジメは家に隠しカメラを設置してしまう。
周囲の人々の言動に心を掻き乱されながらも、妻の監視行動を続けるハジメだが、或る日、ミツを尾行しようとする彼の前に見知らぬ少年が現れて関わろうとする。
タイトルは「後悔する」という意味の諺だが、登場人物が全員一癖も二癖もあってもどかしく、相手に対して言葉が足りないような気がする。
高橋栄一監督は、その不器用な人々をタイミングと間、独特のテンポ感で描写し、我々を異世界へと誘っていく。