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雪山の絆のコマミーのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.5
【生きる】




※劇場公開は昨年だが、配信は今年なので今年公開の作品として組み込む





やっと劇場で鑑賞した…配信はもう始まっているのだが、意地でも本作は劇場で見たいと思っていたので、夢が叶ってよかったと感じている。
「インポッシブル」などの"J・A・バヨナ"があの"アンデス山脈での墜落事故"を映画化すると知って期待値が高まっていた。ホラー映画から始まり、「インポッシブル」のような"自然の脅威"を描いた傑作を作った彼だからこそ描けた本作は、間違いなく傑作で、そして間違いなく劇場のスクリーンや音響のような、"最適な環境で見るべき作品"だと感じた。

このアンデス山脈でのウルグアイ空軍機571便遭難事故は、これまでも代表的な映画化だと1993年にフランク・マーシャルが映画化した「生きてこそ」があるだろう。残念ながら私はこちらは鑑賞した事がないのだが、やはりこの遭難事故は世界的にも"衝撃的な事故"なのだろうと感じた。実際、今回の映画化でも、生存者たちが栄養を補給する為に亡くなった人達の"人肉を喰らい始める"シーンは想像を絶するものであった。生々しいシーンであるのだが同時に、ラグビーの選手たちを含む生存者たちの"結束力"も素晴らしいものであり、"死への向き合い方"もとてもしっかりしていたと思う。

「インポッシブル」でもそうだったように、この「雪山の絆」でもバヨナの自然の脅威の描き方が本当に"容赦ない"。嵐のシーンや生存者に向かって"雪が雪崩れ込み"、生き埋めになるシーンは壮絶だった。それにアンデス山脈の"壮大なロケーション"は、本来なら美しいと映るはずだが、この場合は恐怖や不安を増幅させてヤバかった。この感情はPCやスマホ、テレビの画面で感じ取れるだろうか?デカいスクリーンの方が断然良いに決まっている。シネマロブレさんの音響スピーカーもすこぶる良かった。

全てを見届けて迎えるラストには涙が止まらなかった。キャストの演技も本当に素晴らしい。もう文句なしの大傑作であった。
今年は日本でも、大地震や航空機事故など新年早々大変な事が続いた事もあって本当に他人事とは感じられなかったし、今の平穏に益々感謝したくなった作品であった。この壮絶な生還劇を映画化したバヨナには心から拍手を贈りたい。

もう一度言いますが、出来れば皆さんには、最適な環境で見てもらいたい作品です。
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