ウルグアイの名門学校ステラ・マリス学園のラグビーチームで、1972年10月13日にチリのサンティアゴで行われる試合に臨むため家族や知人含めた40人でチャーター機に乗り込んだオールド・クリスティアンス。悪天候による事故でアンデス山脈に墜落して九人を失った彼らの凍てつく雪山での絶望的なサバイバルの日々を描いた伝記映画です。
デビュー作『永遠のこどもたち』の成功で世界進出して『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を手掛けたスペイン人監督フアン・アントニオ・バヨナが「ウルグアイ空軍571便事故」を描いた作品で、ヴェネチア国際映画祭で公開されると数々の映画賞にノミネートされるなど絶賛を集め、Netflixで公開後も世界中から多くの視聴を集めました。
監督の代表作のひとつである『インポッシブル』の系譜を継ぐ実直なディザスター映画で、アンデスの「悲劇」であり「奇跡」でもある実在の事故を物議を醸したある「決断」を含めて目を背くことなく真正面から描きます。素晴らしい技術と演出で臨場感をもたらし、痛々しい決断を共有したからこそ訪れるラストに拳を握らされる一作です。