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ブラック・ジャック <オリジナルアニメ>のmitakosamaのレビュー・感想・評価

3.2
手塚治虫ワールドのイベント用短編映像。

ブラックジャックの中では有名なエピソードの1つだね。とはいえイベント用の1本として適切なチョイスだったのか?(笑)

ある金に汚いお婆さんがいて、嫁姑との関係は芳しくない。間に挟まる息子は悩ましい日々。
余りに金をせびるので、お婆さんの後を付けていくとブラックジャックと医師の未亡人との話を聞いてしまう。
幼き我が子を救うために、その医師は高額の報酬を請求するが、息子の命を救うためならと快諾。母は生涯を息子の治療費を払うために生きてきたことを知る。
満額払い終わったお婆さんだが、その途端に倒れる。
ブラックジャックはお婆さんの治療費として息子に1億請求し、将来欠かけて払う覚悟があるかを問う…と言う話だ。

確かにいい話なのだが、人の命を金で換算することの意味を問う重いテーマを扱っているからね。

ラストは「一生かけて金を払う!」と言い切った息子に、ブラックジャックは微笑み「その一言が聞きたかった」と言って終わる。

原作を読んだ時も思ったのだが、ブラックジャックはこの後、息子に1億を払わせ続けさせたのだろうか?人の命の重さは判るが、1億は大金だ。借金を一生かけて払い続ける人生を背負わせるのは残酷な話だ。もしかしたら奥さんと離婚するかも知れない。ブラックジャックは、母の様に息子にけじめをつけさせたのだろうか?例え相手の人生を狂わせるとしても。
それとも聞きたかった「その一言」を代金として受け取らなかったのか?その解釈は読む人に委ねられる。
だが、やはり命の重さと共に金の重さの怖さを感じる話だと思った。仮に自分がお婆さんの立場だとしたら、息子に自分の様な人生を送って欲しく無いだろうし、その為には命を救って欲しくないと思うんじゃ無いないだろうか…

色々と考えさせられる話だ。イベント用にしては深すぎるし、重いって!!!(笑)
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