tyapioka

Ryuichi Sakamoto | Opusのtyapiokaのレビュー・感想・評価

Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)
3.7
私が坂本龍一について知っていることは、死んでしまったこと、映画音楽をいくつか担当していること、有名な人だということ、昔何やら楽しげな音楽もやっていたこと、本当にそれくらいだ。そんな私の目頭が熱くなった瞬間、心動かされた瞬間は以下の通り。
一、知っている曲が演奏されたとき
二、表情が写ったとき
三、もう一回などの声が入ったとき
私はストーリーがないと音楽に感動できない質なのだと自覚した。音だけで人生の軌跡を感じ取れるほど豊かではない。大半の知らない曲が演奏されている時間は正直退屈でもあった。それでも、自分の知っている曲が想像よりも遅く柔らかく弾かれていることに老いを感じたり、楽しそうに苦しそうに辛そうに弾く表情に魅入ったり、音の余韻に耳を澄ませたり、それくらいはできるのだなと思えた。また、一緒に観た相手がピアノの匂いまで感じとれる良い映画だったと言っていて、羨ましい、素晴らしい感受性だと思った。自分にはない。人と観れて良かった作品。109とてもいい映画館だった。
tyapioka

tyapioka