ツッコみたいところが満載でしたが、なによりポスタービジュアルがネタバレすぎます。どうにも結ばれそうにない2人の男女がどうなるのか…というドキドキ感を演出しようとするつもりはなかったのでしょうか。
“住む世界が違う”という男女のラブストーリーは、世界中のどこにでもありますが、その2人にコミュニケーションの障がいを設定したところまではよかったと思います。
ただ、最初は裕福で高飛車な女性でしかなかった美夏がどういう心境の変化か、とても穏やかな性格になっていたり、チョイ悪を気取っていた北村が恋する青年になったり、戸惑う展開ばかりでした。
そこからさらに、美夏が暴力的な世界に放りこまれたところの異物感というか、ただ観てるだけなのに居心地悪い雰囲気が絶妙でした。どうにもミスマッチな異種格闘技のようで…。しかも彼女に暴力を振るわせたりして、なぜか2人の男性の自己犠牲という展開が想像できないくらいにあり得ません。とても彼女に男性を撲殺してしまいそうな腕力があったとは思えず、あの一撃を避けられなかった彼の反射神経って…。
やっぱり浜辺美波さんの顔立ちは反則です。こんな脚本でも116分の映像を観せてしまうのは、彼女の魔力としか思えません。そもそも美夏は、不慮の事故で視力を失い、嘘つきの蒼にだまされたフリをしてあげたら、その友人の勘違いで北村のトラブルに巻きこまれ、結果として大切なひとを失うという悲劇のヒロインです。その男性たちに魅力がなさ過ぎて、ちょっとかわいそうな(残念な)存在でした。この作品を選んだ彼女の失敗でもありますが…。