青山

ハッドの青山のレビュー・感想・評価

ハッド(1962年製作の映画)
3.7

牧場を営む一家。生真面目で頑固な父親と、放蕩息子のハッド。そしてハッドの甥っ子のロンと、メイドのアルマ。
ある時、牧場の牛が口蹄疫にかかったことをきっかけに彼らの関係性は崩壊していき......。


父と息子の確執もの。
主要な登場人物はこの4人だけで、構図がシンプルな分、お互いへの感情は複雑なところまで描けている、なかなか見ごたえのある人間ドラマでした。

主人公はタイトルになってるハッド氏なのですが、見てる我々の視点は甥っ子くんに同化していきます。

フラットな甥っ子くんの目から見る祖父(ハッドの父)の姿は、勤勉に働き、自分の体で働いて得たお金で慎ましく暮らし、他人に迷惑をかけることを自らに許さない、人間の美徳を体現したような人物として描かれます。
一方のハッドは、そんな父親に育てられた反動からか、他人を踏み台にしてでも自分と身内が苦しまないやり方を選び、欲望には忠実に行動するという、人間の本質にある利己的な面が強調された(しかしその範囲内での優しさも持つ)人物として描かれる。

この2人のギャップと、その2人共から影響を受けていく甥っ子くんの成長具合がなかなかじわじわくる作品なのです。

まぁなんせ2人共わりと極端な人なので、甥っ子くんにはどうか両方のいいところを吸収して幸せな人生を送ってほしいなーという感想。そして私もそうありたいという教訓。
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