ジャイロ

靴みがきのジャイロのレビュー・感想・評価

靴みがき(1946年製作の映画)
3.6
良い知らせと悪い知らせ、どっちから聞きたい?

って言われたらどっちにしますか?

早く良い知らせを聞きたい気持ちは分かります。でも先に悪い知らせを聞いてから、良い知らせを聞いた方が希望が持てる気がしませんか?

今手元にヴィットリオ・デシーカとスクリューボール・コメディがあります。デシーカの『ウンベルト・D』はとっても重かったから、デシーカから先に観た方が気持ちよく眠れるんじゃね?

ジュゼッペとパスクアーレ

ベルサイエという馬

そしてナンナレッラの存在

この子たち、たくましいなあ

荒廃した戦後の混乱の中で、貧しさの犠牲になる子供たち。親を無くした子供が生きていくのはそれはそれは大変だよね。

両親もおらず住む家もないエレベーター暮しのパスクアーレ。両親も家もあって、でもダークサイドに堕ちた兄がいるジュゼッペ。二人の友情は不滅のように見えたんだけどなあ。

子供には子供たちだけの世界があって、友情や仁義に厚かったりします。明るめの音楽と、貧しさなんかものともしない二人に希望を感じました。

でもね、それは拙い希望だったんだよなあ

まっとうな靴磨きの仕事をしながら、ジュゼッペとパスクアーレは自分たちだけの馬を買うために金策に走ります。あともうちょっとだったのに、ジュゼッペの兄の紹介で怪しげな仕事に手を出しちゃうんだよなあ。

戦後の少年院

そこには人権とかそういうの一切無かった

螺旋階段の広間に響き渡るのは

力ずくでねじ伏せられた少年たちの叫びでした

大人たちのやり方が汚い

あまりにも汚い

二人の絆が引き裂かれていくのが見ていてやっぱりつらいよね。かつて親友だった二人の対峙、狂わされた友情と救いの欠片すら無いラストの慟哭に、いたたまれなくなってしまいます。

う~ん、やっぱりデシーカさん、重いよ~