ソラアユム

アメリカン・フィクションのソラアユムのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
4.5
題名:アメリカン・フィクション
鑑賞日時:2024年3月31日
鑑賞方式:Amazon Prime Video
評価:4.5(MAX5.0)

『黒人らしくないだと?黒人の俺が書いたのに?』


□2024年57本目

□スランプに陥ったアフリカ系アメリカ人作家が、いかにも白人層受けを狙ったB級フィクション小説を書いたことで巻き起こる騒動を描いたブラックコメディ

第96回アカデミー賞脚色賞を受賞したのも納得で、風刺と皮肉の効いたコメディと批評性のあるメッセージ、お遊び的な展開が見事な秀作品

白人層が人種差別に対する良心の呵責を“黒人エンタメ”で解消しようとしている、という現状をコメディとして笑い飛ばしつつ、ポリコレ満載の今の(特に)アメリカエンタメ業界に釘を刺す、風刺の効いた作劇が特徴で最高に面白く興味深い作品だった。今作が日本での劇場公開が見送られたのは残念至極だ。

黒人エンタメをビジネスとして捉え、ある程度割り切りを見せて、なんならポリコレ偏重の潮流に便乗して美味しい思いをしている黒人作家もいることが暗に描かれていて、視点のバランスも絶妙。意識高い系のアフリカ系アメリカ人女性作家と主人公が描く小説の違いは何か?という問いは非情に興味深かった。

□まとめ
今作がアカデミー賞に取り上げられているという背景が更に皮肉になっている笑。劇中内での主人公の“受賞スピーチ“は聞きたかったなぁ…


以上