rage30

アメリカン・フィクションのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

ステレオタイプな黒人小説を書く、小説家の話。

「エリート黒人が貧しい黒人の振りをして小説を書いたらヒットしてしまう」…という粗筋からして面白そうだし、差別問題を変わった角度から扱った作品としても興味深いものがありました。

ただ、実際に見てみると、主人公の家族に不幸が訪れたりと、意外とシリアスな場面も多い。
もっとコテコテのコメディーを期待していたので、悲劇と喜劇が入り混じるトラジ・コメディーな作品だった事には、ちょっと肩透かしを食らったかな…。

でもまぁ、それでも思い通りに事が進まない主人公には笑わされたし、上辺だけで本質的にはアップデートされてない黒人への偏見…もっと言えば、そうした偏見を嬉々として消費してきた観客にも問題はあるわけで。
「○○は○○らしく」と、何かと“らしさ”を求めてしまうのは、黒人だけに限った話ではないと思うし、あらゆる差別や抑圧に繋がるので気をつけないといけませんね。

個人的には偏見を持ってしまう側に興味があるというか、この話の白人視点バージョンも作って欲しいな~と思ったり。
どうして人間は固定観念を押し付けてしまうのか、固定観念を揺るがされると不安になるのか。
「らしさ≒安心」を求めるのは人間の本能の様なもので、だからこそ、偏見や差別をなくすのは難しいのでしょう。
rage30

rage30