KISHIBE

ドリーム・シナリオのKISHIBEのネタバレレビュー・内容・結末

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

アマプラにて

主人公がどんどん不幸になって行くのをただ観るだけの苦痛な映画

自身の研究を本にして出版する事を夢見つつも特にパッとする事も無く、
平穏に過ごしていた主人公の日常が、
ある日突然人々の夢に現れた事から変化して行く物語。

夢に現れるも特に何もせず害が無いことから謎の男として世間に注目され、名声を得るも、徐々に夢が悪夢に変わって行くことで周りの人に恐れられて行く。

授業に参加する生徒が激減したり、
娘の劇を観る事を学校側に拒否されたり、
終いにはカフェで食事をしているだけなのに夢を見た客に気味悪がられ、まともに生活する事すら出来なくなっていくのが本当に見ていて辛かった。

主人公は何もしていないし、
夢に出る人間が例え現実にいても主人公が実際に何かを起こして悪夢を見させるなんて事出来るわけないのに周囲の人間の反応がひど過ぎる。
最初は有名人だと持て囃したくせに犯罪者のように扱う差別行為がとにかく観ていて不快。

自身が1番の被害者だと必死に訴えても娘も奥さんも寄り添ってくれず、誰も味方がいない。
何もしていないのに勝手に周りが変わって行くどうしようもなさがただただ虚しい。

自分1人だけ家族と離れて暮らし、
奥さんと穏やかな時間を過ごす夢を見るのも何とも言えない終わり方。

ホラーというよりも人間の非道さや、
ネット、集団意識などの恐ろしさを描いたような作品。

誰も死んだりしないし大きな事件も起きないが、主人公が本当に何もしていないただの普通の人間なので物凄くモヤモヤした気持ちになる。