オチがないからつまらないだけで終わらしてほしくない映画
監督はノルウェー出身のクリストファー・ボルグリ監督。過去作「シック・オブ・マイセルフ」で独特な世界観「承認欲求」がもたらす破滅を描いた奇才。
そして、今作はA24だけでなく、「ミッドサマー」のアリアスターがプロデュースとして入っているのも注目のひとつ。
あらすじ・・・
大学教授で家族と平凡に暮らすマシューズだが、冴えない自分が嫌でなんとか評価されたいと思っている。ある日、複数の人々の夢に現れていることを知り、突然有名人になるのだが、気がついたら叩かれる存在へ。
なにこれ?どう言う話?どういう結末になるの?って見入ったが月末に一瞬拍子抜けしたかと思えば、どこか「ボーはおそれている」っぽいなって思っていたら、アリアスター制作やったんかい!(後から知りました。)
「夢に出てきたのに何もしない」って部分が超絶妙。なにか良い行いするわけではない、存在を認知されるだけっていう、それが現代では評価に値するって描き方も上手いなって思った。
平凡な人が急に有名に、評価されることになり、少し浮かれた気分になっている間に叩かれる存在へと変わっていく。
まさにSNSに急にバズり、フォロワーが増え、注目されたと思いきや、ちょっとしたことで炎上して叩かれる現代社会を捉えたような印象を受けた。
そしてSNSだけでなく、人生自体そんなものだなって思えてきた。
自分の力以外でひょんといきなり評価されたり有名人になったり、そしていきなり否定されたりってそんなこともあるよね。ってことを不条理さを表現しながら教えてくれた映画だと思う。
クリストファー・ボルグリ監督の今後も楽しみだな。
あと、映画好きな人では、ニコラス・ケイジがこんな役を全力で演じているだけで楽しいかも。ニコラス・ケイジ自身、本作で「キャリアの中で最高の演技」と言っているほど、演技だけで見入ってしまう作品だと自分も思う。
ただ映画を普段見ない人には伝わらないし、何この映画ってなっているみたい。
映画の面白さ=「ストーリー性、オチ」だけではないことをぜひ知って欲しい。
オチがないからつまらないだけで終わらしてほしくない映画だなって見終わった数日後に思った。