幽斎

ダーク・ハーヴェストの幽斎のレビュー・感想・評価

ダーク・ハーヴェスト(2023年製作の映画)
4.0
C級スリラーをレビューする、Scavenger第54界。原題「Dark Harvest」黒い収穫、タイトルには意味が有るので一緒に考えて欲しい。AmazonPrimeで0円鑑賞。

本作のアベレージは何時もの3.0じゃ無くて「4.0」つまり、無料で見れると思えば傑作の部類だが、2023年10月アメリカで劇場公開された新作。イギリス人David Slade監督が、ハリウッドに上陸したのは「ハード キャンディ」私に似てると噂の(笑)、Patrick Wilson主演。その後「30デイズ・ナイト」「エクリプス トワイライト・サーガ」レビュー済「マスターズ・オブ・ホラー」立派なキャリアを誇る。Amazonは本作を推すつもりは全く無い様だが、普通にミニシアターで上映しても満足できるレベルと珍しく褒めたい。

原作はアメリカで有名なミステリー作家Norman Partridgeの同名タイトル。栄えある最優秀長編小説賞ブラム・ストーカーのベスト100にも選ばれた。私はミステリー、スリラー専門だが、此の作品のプロットを拝借して創られたのが皆さんよくご存じ「パージ」シリーズ、スリラー界隈では有名な話。彼の作品なら「The Man with the Barbed-Wire Fists」有刺鉄線の拳を持つ男、傑作なので此方も是非映画化して欲しい。

原作のペーパーバックをKindle版で読んで見たが、Stephen Kingの再来と云われるだけ有り、モダン・ホラーな都市伝説を上手く社会問題に絡めスリラー化してる。ソレをハリウッドでも名門の誉れ高いMetro-Goldwyn-Mayer制作なので、スカベンジャーでご紹介するのは、とても気が引ける(笑)。MGM系列の作品は本作が最後、後にAmazonスタジオに買収された。世界遺産級「2001年宇宙の旅」のMGMはホラーで終わる・・・。

秀逸な原作をアレンジした監督は、雁字搦めの風習の残る街を時代遅れと一刀両断、若者が都会に出て行く事を許さない、クローズな閉塞感を現実離れしたシチュエーションに見立て、社会風刺に焦点を絞る。ターゲットの「ソートゥース」簡単にプロットは看破出来るので「奇祭の正体」レトリックの視点も移る。原作では割と丁寧に描写されるが、映画は95分と言う制約も有り、思わせ振りで多くを語らない。なぜ「ウィッカーマン」レビュー済「ミッドサマー」の様に毎年ヤルのか?。しっかり観れば謎は解ける筈。

流石は名門Metro-Goldwyn-Mayer、ホラーでも手を抜かず一瞥するとレビュー済「スレンダーマン」ヒョロい図体、同じMGM制作「パンプキンヘッド」SFXの神様Stan Winstonの意欲作に雰囲気ソックリ。切れ味鋭いスラッシャーを魅せるので、ホラー・ファンの満足度も高いのでは?。Sawtoothの語源はイギリス英語で鋸刃。対する人間のBarbarianは何を表してるのか、是非一緒に考えて欲しいスリラーの隠れた佳作。

ポリコレや構図や演出は流石A級ハリウッド作品なので自信を以って、暇潰しに為るかも。
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