八瀬

喪うの八瀬のレビュー・感想・評価

喪う(2023年製作の映画)
4.1
疎遠になった三姉妹が父の危篤に集まる。
父親が死ぬまでのその微妙な期間。それぞれに思うところがあり、それぞれの暮らしがあり、それぞれの思い込みや抱えている問題があり、ぎこちない空気が流れるなんともいえない数日間。
身近な人を喪う悲しさと、それでも事務的なことをやらなければいけない現実的な煩わしさが地続きになっている感じがリアル。
そして3人それぞれに父の死と向き合っている姿が痛ましい。次女が自分の姉にすごく似ていたり、三女に感情移入してしまったり、長女の頑固さもすごく「いる」って感じで、人ごととは思えない気持ちになった。

「自分はわかってる」と思っていても、本当は見当違いだったり思い込みだったりすることってたくさんある。血の繋がらない妹だって、今まさに死にゆく父親だって。本当は何を思っているのか。どう生きてきたのか。
彼女たちには話し合ってわかり合える時間があって良かった。

3人の演技が素晴らしかった。
八瀬

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