これは今の時代のハードボイルドの新形態ですね、展開が往年のハードボイルドそのもの。
ヴィランズものとも言えますが、ハードボイルドに欠かせないファムファタールの現代のスタイルを思わせる見せ方が絶妙です
リチャード・リンクレーター監督は、事実を元にしながらも、実はそれを描きたかったように感じました。
《タイトル》
“ヒットマン“が付くタイトルの映画はいくつもありますが、この作品におけるヒットマンというタイトルは気が利いています
もっと言うと本物のヒットマンは出てこないし、最大のヒットマンはとんでもない人物だったりします。
《殺し屋の射程距離》
途中でおもしろいやり取りが出てきて、射撃訓練場で、主人公(グレン・パウエル)が、殺し屋が相手を撃つ距離を説くシーン。
遠距離射撃と近距離射撃の論理で、思わず「ゴッドファーザー」でマイケルが麻薬売人ソロッツォとマクラスキー警部に発砲するシーンを思い出しました。
こーゆーことだったのかなるほど!これで私も殺し屋になれる気がしてきた 笑
【ヒットマン】
主人公の大学講師(グレン・パウエル)は、警察に協力する囮捜査官だが、見方を変えると、なりすましでターゲットを巧みに誘導しながらトラップに突き落とすとんでもない野郎と思えなくも無い。
これを合法と言うならどこか違和感もあるが、そんな現実的な話はこの際どうでもいい。アメリカではそういうことなんでしょう。
《検挙のプロセス》
ここで見せられるのは、囮捜査で殺し屋を装い、近づいた相手との会話を盗聴し、札束で殺人を依頼する奴らの行動を現行犯として検挙、逮捕するアナログなプロセス。
この犯罪謀議のスキットは、男女あらゆる連中が捕縛される流れで何度も登場する。
検挙に至るシーンは、グレン・パウエルのいかにもな変装七変化によっていつしかコミカルなものに見えてくるのだが、必要以上にベタベタ繰り返すラブシーンと共にここには業師リンクレーター監督の、賛否分かれそうなラストの描き方への中和を考慮した計算が見え隠れする。
《疑惑のラスト》
その疑惑のラストは…
あ、なるほどそーゆーこともありですよねーなのか、いやいやいやいやいやいや、オイちょっと待てよ、そりゃ違うだろ…となるのか、ま、異論反論肯定論、どう感じるのかは機会あらばご覧になって決めてください。
私ですか?
前述の射撃場のシーンで、殺し屋の射程距離を理解してしまったもので、私のような腰抜け野郎でも何にでもなれる可能性を感じました 笑
人生いろいろ、主人公が変装するようにいろんな生き方があると、ラストに至って考えさせてくれる、これはそんな作品でした
◾️雑記《エトセトラ》
◉グレン・パウエルは、製作・脚本に参画しているだけあって、今作が一番演技にもラブシーンにも気合いが入っていたかも。あえて言えば特にラブシーン❤️🔥笑
◉一緒に観たパウエルファンの息子との
通路に出てからの会話
息子「変装したことある?」
オッサン「それだけは教えない」 以上