Jun潤

バティモン5 望まれざる者のJun潤のレビュー・感想・評価

バティモン5 望まれざる者(2023年製作の映画)
3.7
2024.05.25

予告を見て気になった作品。
公開前日に予告を見るまで作品の存在を知りませんでしたが、時間がちょうど合ったので今回急遽鑑賞です。

フランス郊外にある、移民が多い貧しい公営住宅地。
その一棟一棟には、棺に納められた遺体を家族でなくてもみんなで狭い階段を降ろしていくような、温かみのある様子があった。
しかし、再開発のため、老朽化した団地は壊されていく。
その際の事故で前市長が急逝したことにより、小児科医のピエールが新たな市長となる。
市民の生活を思い、議会と衝突しながらも犯罪抑制のために移民に対する政策を強行していくピエール。
移民救済団体の会長をしているアビーはその政策に対して声を上げ、行動を起こしていく。
行き場のない怒りによる暴力と、それに対する罰の執行は、やがてそれぞれの家族にも及んでいく。
市民の怒りが、噴出していくー。

「憤怒」、いえ、“噴怒”と言えるような、まさしく溜まりに溜まった怒りが一気に噴出していく様を観せつけられました。

不当な政策の執行と、それに対する正当な暴力とのいたちごっこ。
家族が傷付けられれば必ず相手に対して報復の刃が向けられる。
行政というの簡単には立ち向かえない巨大な権力に対し、政策や法令の対象となるのが一部だろうと一人だろうと、市民が家族全員で反撃に出る。

今作を観ても、結局外国のことで、日本にも移民がいるとは思いますが、自分の関心がある領域内にいなければ、自分事にしにくいのは情けないばかりです。
市民のため、家族のため、それぞれき主義主張があって、それを場面ごとで観せられて分かっているからこそ、どちら側にも立てると考えちゃうのは、無責任ですかね。
Jun潤

Jun潤