設定は2001年のインドで、女性の地位はすこぶる低い。ヒジャブで顔を覆い、夫の名前を呼ぶことは「はしたない」とされ、学歴や自立を求められない田舎の女性たち。
日本では考えられないような取り違い事件がインド映画らしくユーモラスに描かれていたけれど、若い可愛いカップルの気持ちにほだされ、ちょっと泣けてきてしまう。音楽と情緒。そこもインド映画らしさ。
実家や夫の住所すら知らず、家事だけを仕込まれた新妻。消えた新妻を探す手段すら考えられない夫。
「顔は大事だよ。顔が無ければ自分かないのも同じ。」というセリフに、ちょっとマスクを連想してしまった。
時代設定は20年も前だけれど、「常識」に囚われて目の前の事実を疑わない危うさや、見た目で人を判断してしまう怖さなど、現代の誰にでも通ずる人間の本質が見え隠れしている話だった。
警察がこんなじゃ、そりゃ何も解決しないよね……と、ついつい思ってしまう警察の動きもこの映画のキモです。
気持ちよく感動できる、素敵な人間ドラマ。