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ロボット・ドリームズのもつのネタバレレビュー・内容・結末

ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

Filmarks
◯総評
犬くんとロボットくんの交流を描くハートフルアニメ
満足感もあるし感動もできた素敵な映画
でもシリアス展開の起点が強引気味でちょい気になる
何も解決しない日常描写が長く続くから道中はフラストレーションが溜まるかも
でもエンディングの味わいで全部許せちゃう、そんな作品
Septemberを聴いてるだけで泣きそうになる

◯良かった
・色々な動物が生きるニューヨークの世界
犬からタコからカモノハシまでが好きに生きている
ロボットがあっさり馴染んでしまうのも頷ける器がこの世界観にはある

・登場人物が魅力的
友達がおらず寂しがり屋の犬くん
好奇心旺盛で何をされても嫌な顔をしないロボ
気さくな修理屋のラスカル
主要人物がそれぞれ個性的で魅力的だった

・セリフがないのにシナリオがわかりやすい
字幕版と吹き替え版がないのはどうして?
と思ってたらそもそもセリフがなかった
アニメーションと音だけでシナリオがきっちり伝わるの凄くない?

・感情移入させられる丁寧なシナリオ運び
寂しさに耐えかねてロボを購入する
ロボとの離別に必死に争う
それでも再会できず、手立てもなくなり新しいロボを購入する
そして、そのまま再会することなくエンディングへ

・ハッピーともバッドとも言えない味わい深いエンディング
ロボは結局、犬くんと再会しないことを選ぶ
個人的には、再会して欲しい気持ちもあった
だけどロボはそうはしなかった
既に構築されたそれぞれの関係を崩すという我を出さない
そこが切なくて悲しくて、だけど優しさも感じられて素敵なエンディングだと思った

・ブロマンス?多様性の暗喩?
ロボットは「友達ロボット」と紹介されてるけど、正直言うと恋人にしか見えない
というか演出的にも恋人的な立ち位置で間違いないと思う
テーマソング?のセプテンバーもそういう感じの歌だし
お互いのことを大事に想っているけど、どうしようもない問題によって引き裂かれる2人
そして、お互いに新しい相手を見つけてそれなりに幸せに暮らす
この辺りに、作者からのメッセージを感じた
仮にただの友達だったら4人で会っても良いわけで、そうしないのはやっぱりブロマンスとして描かれてるからなんじゃないかな

◯気になった
・ロボットに人権なさすぎやろ!
ビーチに放置されたロボを回収させてくれない行政にびっくり
いやいやビーチにちょっとだけ入れてくれればそれでええやん
でもまあ普及したてで法整備が整ってない的なことなのかな?
いやでもビーチの忘れ物を取るくらいはロボじゃなくても全然あると思うけどなぁ

・ロボくんが動けなくなった理由が不明瞭
燃料切れ?それともサビ?
でも水中を泳ぐ機能はあるわけだから、防水機能はあると思うんだけどなぁ
もしくは犬くんが防水スプレーを怠ったせいなのか?
後半で入念に防水スプレーしてるシーンあるし

・ロボ会社のアフターサービスとかないの!?
犬くんは自分で修理しようとするし、販売元に修理を頼む様子もない
他にもロボが存在する世界なんだから、もっとロボの修理とか回収は気軽にできるべきじゃないの?

◯好きなシーン
・冒頭30分の楽しい時間
独りが寂しい犬くんがロボを購入して楽しく過ごす素敵なシーン
ロボは喋らないけど動きが愛嬌いっぱいでとても可愛らしい
でも、逆に言うとここ以外はひたすら辛いシーンが続くことになるんだよね……

・最後のソロダンス
犬くんとの思い出の曲「September」がロボのお気に入りになってることが切ない
犬くんと一緒に過ごせた日がロボにとって楽しい記憶で良かった
そして、2人は互いの存在を感じながらソロでダンスを踊る
離別してから一年も経ったのに息ぴったりなのも切ない

・ロボはラスカルとの生活を選ぶ
犬くんに新しい恋人がいることを知って、ロボは会いに行くことをやめる
窓から顔を出せば見つけてくれるだろうに、部屋の奥に隠れてラスカルの元に戻る
それは新しいロボットへの配慮かもしれないし、自分を修理してくれたラスカルへの感謝なのかもしれない
そんな思慮深くて健気な選択をしたロボットがとても愛おしい
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