このレビューはネタバレを含みます
◯総評
5ルピーの名医マーランと稀代の奇術師ヴェトリが織りなす痛快復讐劇!
アクションや役者たちの名演はかなり見応えがあって楽しい
復讐劇ということは、復讐の前に悲劇が描かれるんだけどそれがかなりエグい
回想シーンという形で悲劇が描かれるから、この後ろくでもないことになると分かった上で幸せなシーンや辛いシーンを見るのがキツかった
◯良かった
・ヴィジャイが一人で演じる二人の主人公
貧民を破格の安値で治療するマーラン
腐敗した政府の悪を討つ奇術師ヴェトリ
彼らが同一人物的なミスリードで物語が展開するので、種明かしされた瞬間はかなり驚いた
ジャワーンもそうだったけど、アトリ監督は一人の俳優に兼役させるのが好きなんだろうなぁ笑
ちなみに人気俳優のヴィジャイさんは現在、俳優を廃業して政治家を目指しているらしい
・二人の父親、ヴェトリマーランの生き様
優れたリーダーとして村を守り、命懸けで子供を守りぬいたヴェトリマーランが格好良い
ちなみにインドでは父親の名前を分割して子供の名前にするってよくあることなの?
(軽く調べたけど分からず)
・ヴェトリの奇術を生かした戦闘シーン
魔法のような立ち回りで敵を圧倒していく動きがかなり格好良い!
ちなみにマーランも結構強い! 本当に医者か?
・容赦のない復讐
インド映画あるあるかもだけど、主人公たちの復讐に全くもって余念がない笑
確実に息の根を止めるエグい復讐は見ていて爽快ですらある
日本人も半沢直樹が好きなんだから復讐ものが好きなはずで、そういう意味ではインド映画はもっと日本で流行っても良いんじゃないかと思う
・社会に対する主張
今回の映画では「医療の腐敗」がテーマだったように思う
アトリ監督のジャワーンでもそういう描写があったから、映画を通してインドの医療を整えたいという思想があるのかな
◯気になった
・悲劇シーンが辛すぎる
お産っていう無防備なタイミングで必要のない帝王切開を受けて死んでしまう母を見ているのがひたすら辛かった
復讐のキモになるシーンだから避けられないのは分かるけど、見ているのが苦しい
・わりとグロめ
交通事故シーンとか死産シーンとか、絵面がかなりグロいところがちょいちょいある
◯好きなシーン
・ヴィクラムのマジックシーン
ひたすら華麗で見応えがある
・マーランとヴィクラムが入れ替わり作戦で悪役を出し抜くシーン
大体予想がついてる展開ではあるけど、それでも格好良いから全てOK
ついでに、アトリ監督は牢屋の中にいる主人公を悪役が煽るシーンが好きでたまらないんだと思う笑
ジャワーンでも見たし笑
・タクシー父ちゃんの復讐
拝金主義の医者に娘を殺された父ちゃんが復讐を果たすシーン最高
伏線の回収がかなり上手い