これも数あるNY映画の系譜、喪失と共にある街の物語に思えた。2つ並んだタワー、2人(?)並んだ影。Do you remember?ってつまり、あの9月のことじゃないかと。けど明らかに80年代だから、まるで過去から未来を想うような…そこが不思議だけど、予め何かが欠けるであろう予感がひしひしと立ち込めてるのだった。
いつだってコニーアイランドといえば忘れられた夢の残骸、物哀しい風景…ああ、おうちに帰りたい。すごく切ないんだけど、でもあの時点では、やっぱ2人きり(一対)の限界というか、救出に協力する仲間がいればよかったのにねえ…って身につまされてしまったよ。
いや勿論そんな身も蓋もない話ではなくて、欠けたものは別の形で埋め合せることができるし、ほろ苦い思い出と共に人生は続く。最後のダンスにはグッときた。すべてが曇りガラスに描いて流れる夢の中みたいだ。思い出したのはメリル・ストリープとデ・ニーロのNYメロドラマ『恋におちて』。でもドッグとロボットに見る関係は、友達でも恋人でも家族でも人同士じゃなくてもいいはず。
言葉を省いた表現はウォレスとグルミット、ひつじのショーンもそうだけど、デジタルの線と色がアイコン的フォルムの強みでセンチメンタルなエモーションを最大限発揮。やっぱ手が雄弁なコミュニケイション・ツールなのね。キートンからサイコ、サタデイ・ナイト・フィーバーまでお馴染みクラシック映画のパロディ、ミュージカルとタップダンス、あの曲以外Vo.を避けた選曲が好き。確かにサントラ欲しくなるね。