Busceo

99%、いつも曇りのBusceoのレビュー・感想・評価

99%、いつも曇り(2023年製作の映画)
3.9
普通ってなにとか子供を作るのが当たり前に対する疑問であったり、それを男性の老人に言わせたりするのは手垢がつきすぎというか、大事なことだとわかっていてもややお腹いっぱいだなと思ったりもするが、発達障害的な症状の描写(ASDというより ADHD的に見えた。まあその弁別は作品を語る上ではあまり意味はないしそもそも弁別できるもんでもないが)と共に、そこからくる二次的なしんどさとしての自尊心の問題、そして出産、育児への不安、忌避といったしんどさの描かれ方は良かったし、作り手の表現衝動のようなものが強く感じられて切実で誠実な映画だった。夫婦役の二人もとても良かった。

妻についてはその発達特性が彼女の人間的魅力に大きく寄与してんだよな。女性の場合は発達特性の極端さが魅力として機能するケースは多いが男性の場合はそれが少ない印象がある。だからこそ「理解ある彼くん」みたいのが擦られたりするんだろうけども。

ASDについては女性より男性の方が多いという統計があるが、個人的には適応の過程というか手段は(ジェンダー的な環境によってなのか)違うが根底にあるASD性を抱えた人の割合は男女ともにあまり変わらない気がすんよね。適応方法と不適応になる過程が違うが…てこういうのはあまり軽々しく書くものではないな。いつか飲みに行ったときに話しましょう!

そうだ、二人の住む家がすごい素敵だったんよね。ああいうウッディな平家(ひらや)とても憧れる。
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