成田007

勝手にしやがれの成田007のレビュー・感想・評価

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)
4.3
泥棒でダメ男ミシェル(ベルモンド)とショートカットで可愛くて才能豊かな記者志望の若い女性パトリシア(ジーン・セバーグ)、パリを舞台に二人は互いに惹かれ合う。

ストーリーはミシェルが泥棒をバレそうになり警官を殺し、パリで指名手配されてしまうところから始まる。ミシェルはイタリアに二人で逃げようとするが、パトリシアには怖れと迷いを感じながら彼に付いていく。

「勝手にしやがれ」はジャン・リック・ゴダールの代表作であり、初の長編映画。ベルリン国際映画祭で銀熊賞の作品。なぜ、今作は素晴らしいのだろうか。私の言葉で考えても伝えられる言葉が考えることができない。いいのは分かるけど、どこがいいのか具体的に言葉にすることができないです。

ストーリーは一見するとありきたりで使い古されている悪い男と純粋な娘の恋だが、一切古さを感じさせない。それは二人の俳優の演技、一連の流れが自然であるからだと思う。タイプの違う男女の噛み合っていないけど、それが噛み合っていると錯覚するのは恋の力。何気ない会話から二人の生き方が感じらる。二人の生き方の違いがラストの結末に繋がっていく。

そして、ラストの目まぐるしい展開。常識にとらわれないゴダールの手法に感動しました。走馬灯のように今まで二人のやりとりが蘇ってきました。納得できるラスト。しかし、寂しさも感じてしまう。二人の結末を知った上でまたもう一度見たいなと思いました。

今回、初めて映画館で白黒映画を観ました。今はパッケージ、ネットで手軽に映画を観れる時代になりました。今作公開当時(1969年)は映画館でしか映画を観れなかったと思うと感慨深く思ってしまいます。
成田007

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