しーかず

白鳥のしーかずのレビュー・感想・評価

白鳥(2023年製作の映画)
3.7
ウェス・アンダーソン監督の短編4部作のうちのひとつ。いじめられている知的な少年ピーターが描かれていて、ウェス・アンダーソン監督らしいコメディタッチで軽いノリは健在なんだけど、内容としては4部作で一番重苦しくシリアスを感じた。悪質の域を越えているいじめに遭いながらも最後にあっと言わせるように飛び立ったピーターだけど、報われるようなラストではない気がするし、いじめっ子2人が作中で報いを受けることはないので、モヤモヤした気持ちが残る。原作者ロアルド・ダールのセリフからもあるように、運命を受け入れて服従することなく、最後まで抵抗したピーターの一瞬の輝きが勇ましく、同時に痛く悲しい。他の3作とは一風違うタイプの不思議な話だった。
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