Chris

続・猿の惑星のChrisのネタバレレビュー・内容・結末

続・猿の惑星(1970年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

 前作も感じていたが、今作は類人猿とは別にミュータントの登場によりファンタスティックプラネットのような雰囲気が増していた。無論こちらの方が先ではあるが、猿やミュータントの行いが人間の行いを風刺したものであるところが共通していると思った。
彼らの戦争に対する考えや信仰をわざと醜く描くことで本当に人間は将来自分たちの手で身を滅ぼしかねないこと、またその愚かさを伝えるメッセージのように感じた。
今作では猿たちの中でも種類がありその種によって持っている権力や権利にも差があるようだった。ジーナやコーネリアスなどのチンパンジーは好戦的で横暴なゴリラからは明らかに差別されていた。
またミュータントたちは放射能の影響でテレパシーや幻覚などの能力を得たためか核兵器を崇拝している。それが終わりをもたらすものだと理解せず神として崇めている様は滑稽に映った。
ザイアス博士の言葉に「最も恐ろしいのは無知であること」とあった。その通りでミュータントたちが教会のような場所で核ミサイルに祈る異常な光景は露わになった彼らの素顔も相まって恐ろしかった。
このような社会情勢に対する風刺がこれでもかと分かりやすく描かれている。
前作のような衝撃はないが、人間自身の手で滅びたことを嘆いていたテイラーたちが人間の兵器を起動させ、世界を滅ぼすしかなかった結末はあまりにも皮肉めいていて救いようがない。これだけ絶望的な終わり方を2作続けてできるのは驚くべき技量だ。
さらに今作のほうが込められているであろうメッセージや皮肉が重く明確だ。エンタメとして楽しむというよりも歴史的な出来事や伝記を体感しているような感覚に陥った。それだけ世界観が完成されていてこの映画で表現したい真意が揺るぎないからだと思う。
前作とは監督や製作陣が違うようだが、しっかり世界観を受け継いでいて風刺的な描写もゆかりなかった。
1時間半ほどの映画だが、いい意味で短く感じず満足感のある作品だった。すっかりこのシリーズにハマってしまったので新作が上映している間に制覇したいと思う。
Chris

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