Chris

妖怪大戦争のChrisのレビュー・感想・評価

妖怪大戦争(2005年製作の映画)
3.6
小さい頃に観た記憶があり、少しトラウマの作品である。
タダシが山に迷い込み妖怪たちに脅かされる場面は不気味で今観ても怖かった。溶解炉のような場所で妖怪が融合する描写も子供なら泣き喚くくらいえげつなくて恐ろしい。
だが肝心な「ヨモツモノ」という妖怪は体が機械的で妖怪感を感じられない上に未発達のCGが安っぽく見えてしまった。それゆえに戦闘シーンが多い後半はあまり楽しめなかった。
前半は妖怪たちとの遭遇などのホラーの描写を先にして、その後コメディ描写を連発することで物語に緩急が生まれてとても楽しめた。
何より阿部サダヲ演じる川太郎が騒がしくて面白い。さっきまであんなに不気味だったのに急に愉快にギャグし出すのに笑いが込み上げた。後半もこのキャラには活躍の場が欲しかったところだがストーリー的にしょうがないのかもしれない。
逆に終盤まで一緒にいた川姫は目立った活躍をしていない。もっと深掘りするか、重要な立ち回りが必要だと感じた。おまけに演技も上手くない。
それに比べて神木隆之介は当時小学生でありながら大人顔負けの素晴らしい演技力だった。特に妖怪を怖がり慌てふためいている仕草や叫びが自然すぎて驚いた。
だが、やはり戦闘シーンは不自然なCGの動きと声が合っていなくて滑稽だった。前半はコメディで持っていた節がある。敵の倒され方もギャグなので無理にアクションを頑張らなくとも後半もコメディで押し切ってもいいような気がした。
監督がメカっぽい化け物が好きなのは実写版ヤッターマンでも見受けられる。
しかし個人的にはこの戦闘シーンのクオリティの低さが映画の完成度を下げていたように思う。ホラーの不気味さとコメディのセンス、王道でありながら盛り上げるゴールのはっきりした脚本など楽しめる要素が揃っているので残念である。
終わり方もよくわからない後味の悪いものだった。ここが監督の素直に終わらない捻くれている部分だと感じた。後半はともかく前半まではワクワクできて楽しい映画である。
Chris

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