みずきち

タタミのみずきちのレビュー・感想・評価

タタミ(2023年製作の映画)
4.5
イスラエルとイランのスタッフが秘密裏に暗号まで使ってまで共同制作し、自由が奪われているイランの現実を発信することの価値の大きさは計り知れない。そんな映画。
日常のすべて政府の手の内にあり、いつでもそれが壊されるという恐怖感が、鬼気迫る主役の演技でひしひしと伝わってきてとても緊張感がある。
上映後のトークも大変興味深い内容ばかりで、白黒にしていてアスペクト比が狭めな理由は、「登場人物の世界には色がなく、狭いこと。また、どの時代の話でもあると解釈できるように、タイムレスになるように白黒にしている」。ある種の自由を手に入れて難民選手団として最後タタミにあがる際に、ようやくアスペクト比が広がる。そして祖国イランの選手とどんな心境で対峙するのだろう。
窮屈で緊張感のある限定的な映画だが、制作側の信念と強い思いを感じられるとても良い作品。
みずきち

みずきち